北海道癌談話会

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癌情報の発信と、癌研究の発展のために

ご挨拶

ご挨拶

会長写真 ここ数年の癌研究の進展は目覚しいものがあります。顕著なこととしまして、『癌を代謝疾患として捉える』視点が明確になってきたことがあります。これまで遺伝子変異によって細胞の癌的増殖が促されるとされてきました。変異した遺伝子産物やゲノム状態によって、増殖関連遺伝子や生存性制御関連遺伝子などの発現が変化し、癌細胞が増えるというものです。しかし、では一体どのようにして癌化細胞が増殖するのかに関する分子的実態は不明であり、「増殖に関わる遺伝子が異常高発現するから」等という単純な説明しかありませんでした。この数年の癌研究の成果によって、癌的ゲノム変異の主な標的は『代謝リプログラミング』であることが明白になりました。また、ヒストンコードを含むエピゲノム修飾も実験系における理想状態で描かれたものに過ぎず、実際は、細胞の代謝状態やATP産生機序の変化、周囲のpH変化などによって、ダイナミックに変化することも明確になりました。抗がん剤が十分な効果を発揮するのは免疫サーベイランスを介してであることや、腸内細菌も重要な役割を果たしていることもわかりました。さらには、少し前になりますが、癌では非幹細胞から幹細胞が自然と生じる事や、intratumor heterogeneityの存在によって従来のような生検のやり方はあまり意味がないことも示されています。従いまして、precision medicineということが盛んに言われていますが、このような癌細胞の示す多様性やplasticityを考えますと、何をもってprecision medicineとするのかはむしろ困難であることが明確になってきました。

このような癌研究の進展は、これまでの癌治療や医療を否定するのではなく、特に、癌と代謝・免疫との関係の明確化は、未来に向かって新しい扉を開く必要があることをその具体的可能性と共に示し始めていると言えます。このような発展をもたらしたのは、ゲノム科学、代謝産物を含めた生体物質に関する生化学・分析化学、さらには、細胞生物学、構造生物学、数理生物学などなど、多分野広領域における技術革新と研究進展の結果と言えます。一方で、R. Weinberg博士も述べられていますように、単なるビックデータ解析では研究の目覚しい進展や新しい概念形成はあまり望めません(AI技術がもっと発展すれば、これも可能になるかもしれませんが)。このような時代に生きる我々癌研究者や医学者にとりまして、現場に密着した様々な情報の交換や共同研究が益々大きな威力となります。癌に関する新しい医学・医療を切り開くフロンティア精神が発揮される時かと存じます。長い伝統に支えられた北海道癌談話会が今までにもまして、そのようなことに大きく貢献できますよう祈念いたしております。

平成29年度北海道癌談話会会長
北海道大学大学院医学研究科
生化学講座分子生物学
佐邊壽孝

過去会長挨拶

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 北海道癌談話会の平成28年度会長を仰せつかりました高橋弘毅でございます。微力ではありますが、会の発展のため務めさせていただきますので、皆さまのご指導ご支援を宜しくお願い申しあげます。

  本談話会は1966年に発足した半世紀とういう長い歴史をもつ学術団体で、北海道におけるがん研究および診療の進歩・発展を促すことを目的に活動しています。道内4つの医・歯・看護系の大学・学部に設置されている講座・研究室、並びにがん診療を積極的に行っている市中病院が施設会員となり構成されており、その数は80にのぼります。そこに所属する医歯薬学系の研究者、医師等の医療関係者は我が国で死因第1位の悪性新生物と日々対峙し、その撲滅に精魂を傾けております。本談話会の大きな特長は、発がん機構の解明や創薬に関わる基礎研究から診断・治療、緩和ケアなど診療現場に直結する臨床研究まで、しかも、肺がん、消化器がん、婦人科腫瘍等、悪性腫瘍の全ての領域を網羅するがん研究を幅広く行っていることです。北海道のがん研究の総力が結集しているといって過言でありません。そして、北海道からの情報発信、情報共有やコミュニケーション、共同研究の基盤となるべく活動しています。

 本談話会の主な活動であります、北海道癌談話会例会(第111回)を第96回北海道医学大会の腫瘍系分科会として、平成28年9月3日(土)に札幌医科大学記念ホールで開催します。特別講演「免疫チェックポイント阻害剤が変えるがん治療:光と影」を鳥越俊彦教授(札幌医科大学医学部病理学第一講座)にお願いしております。また、6月25日(土)には豊嶋崇徳教授(北海道大学大学院医学研究科内科学講座血液内科学分野)並びに竹政伊知朗教授(札幌医科大学医学部消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座)が世話人となり、春季シンポジウムをTKPガーデンシティアパホテル札幌で開催します。特別講演「白血病の起源について-基礎から臨床へ-」を小川誠司教授(京都大学腫瘍生物学)にお願いしております。また、本談話会では癌医療、癌研究に関わる若手医師、研究者を対象に奨励賞の選考を平成24年から実施しております。今年度も多くの応募がありますことを期待しております。応募基準等の情報は本ホームページにも掲載しておりますので、是非ご覧いただければ幸いです。

最後に本談話会の活動が益々活発になり、本道から多くの有益な医学・医療情報が発信されることを心より祈念しています。

平成28年度北海道癌談話会会長

札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座 教授

                      高橋弘毅

H27会長 秋田弘俊平成27年度北海道癌談話会会長を仰せつかりました北海道大学大学院医学研究科腫瘍内科学分野、秋田弘俊です。
歴史ある北海道癌談話会の会長を仰せつかり、とても光栄に存じます。

本談話会は、北海道における癌研究および癌診療の進歩・発展を促進することを活動目的としている学術団体です。本談話会は北海道内で癌の基礎研究、応用研究、臨床研究、社会医学研究など、幅広い領域の癌研究に携わる研究室、さらには病院を施設会員として、それぞれの場で日夜精力的に研究や診療等に励んでいる研究者や医師、大学院生などの学生によって構成されており、北海道からの情報発信、情報共有やコミュニケーション、共同研究の基盤となるべく活動しています。

平成27年度は北海道癌談話会例会を例年通り、第95回北海道医学大会の腫瘍系分科会として、平成27年9月12日(土)に北海道大学医学部学友会「フラテ」で開催します。併せて、6月6日(土)に札幌市内で春季シンポジウム「膵臓癌の最新の基礎研究から臨床まで」を平野聡先生(北海道大学大学院医学研究科消化器外科学分野Ⅱ)と狩野吉康先生(札幌厚生病院第3消化器内科)のお世話で開催します。

北海道癌談話会の会員施設、並びに、そこで活動する研究者や医師、大学院生などの学生のより一層の発展のために、本談話会が貢献できますことを心より祈念しています。

平成27年度北海道癌談話会会長
北海道大学大学院医学研究科腫瘍内科学分野 教授

秋田先生署名

 

 

H26会長 澤田典均

北海道では昭和初期から市川厚一北大教授を中心にがんの制圧活動が盛り上がり、爾来今日まで日本のがん制圧活動をリードしてきました。がん制圧のためのがん研究は、基礎と臨床の垣根を越えた研究者が参加する北海道癌談話会の設立により、一層活性化されました。北海道癌談話会は、これまでおおよそ50年に亘って北海道のがん研究者の情報交換を中心に活動を行い、北海道のがん研究を支えてきました。最近はがん研究の性格上、研究の対象が、臨床各科、基礎医学、薬学、分子生物学など多岐にわたり、それぞれの領域で細分化する傾向にあります。またシークエンサーの急速な進歩によりホールゲノムのデータベースを利用した研究などが普通に行われるようになり、情報が氾濫しています。もはや一研究者、一研究室で行うがん研究は限界に来ています。一方、がん研究者は、適切で分かりやすい情報を一般の方に提供する義務があり、がんについての広報活動が年々重要性を増してきました。しかしがんの情報についても細分化された領域にそれぞれ専門家がおり、一人の研究者ががんの全てを正確に把握することが困難になってきました。

このような時期に北海道癌談話会ホームページの運用が始まります。このことによりがんについての正確な情報や北海道内におけるがん研究の成果を一般の方に広く知っていただくことができるようになります。さらに北海道内の異分野の研究者の迅速な情報交換・共同研究にも貢献するものと思います。始まった時から完全な形のホームページはあり得ませんから、アクセスする方のニーズに対応して適宜改良を重ね、日本中さらには世界中の方々に北海道からがんについての情報を発信することができようになることと、北海道発のユニークながん研究が飛躍的に発展することに役立つことを信じております。最後になりましたが、開設に向けて検討を重ねてこられた、北海道大遺伝子病制御研究所浜田先生を中心とする方々に御礼申し上げます。

2014年6月

平成26年度北海道癌談話会会長
札幌医科大学 病理学第二講座
教授 澤田 典均

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